ワークショップ活動

都市部の再生可能エネルギー源を探せ!循環型ゼロカーボンCITY への道

座長:
大阪公立大学大学院工学研究科
都市系専攻(地域環境計画)
教授 鍋島美奈子 氏
■主旨

 多くの基礎自治体が,2050 年をめどにゼロカーボンCity をめざすことを宣言しているが,ほとんどは具体的な目標達成への道筋が見えているわけではなく,地域の実情に合った施策を模索中である。現実的には,直近2030 年までの中間目標を立て,コツコツと積み上げていく以外に方法はない。徹底的な省エネを実施してエネルギー消費を削減すること,またエネルギー利用効率の向上や再生可能エネルギーの利用率を向上することによるCO2 排出量の少ないエネルギー源を増やすことが必須である。
 たとえば,大阪府・市では「おおさかエネルギー地産地消推進プラン(2014 年3 月策定)」の後継施策として「おおさかスマートエネルギープラン(2021 年3 月策定)」を発表している。その目標として,大消費地・大阪において府域における再生可能エネルギーの「地産地消」を推進するとともに,他地域との連携を含めた広域的な再生可能エネルギーの調達を促進することで,府域において利用される電気について,再生可能エネルギーの利用率を倍増することを目指すとある。地産地消を強調していた旧プランから,新プランでは“他地域との連携”が追加されている。大阪のような都市部においては,太陽光発電以外の再生可能エネルギー源が少ないのは事実であるが,他地域に頼る前に,都心部で利用可能な再生可能エネルギー(電気・熱)を探求すべきではないか。
 そこで,本ワークショップのテーマとして,業務・家庭部門の厨芥ごみに焦点を当て,再生可能エネルギーとしてのポテンシャルを見極め,持続可能なゼロカーボンCity への貢献について考えたい。たとえば,家庭から排出される厨芥ごみをディスポーザー経由で下水処理場に集約し,消化槽にて下水汚泥と共にバイオガス化するという都市レベルの変革を検討したり,現在,あべのハルカスに導入されているような厨芥ごみメタン化装置を街区レベルで設置し再生可能エネルギーの分散拠点とするような検討をおこない,社会的ムーブメントを起こすきっかけとしたい。循環型ゼロカーボンCity 実現に向け,物質収支やエネルギー収支の分析や,普及に向けてのテクニカルな課題・法的な課題などの調査をおこない,厨芥ごみを通して都市部のゼロカーボンCity のあり方を模索したい。