新しい公共や協働のまちづくりなど、地域のガバナンスのあり方が大きく転換する今、地域のなかで企業がどのような役割を演じていけばいいかを考えていきたい。企業としても社会貢献活動(CSR Corporate Social Responsibility)が問われており、2010年にはISO26000としてガイドラインが規格化されるなど、社会から注目されている。
ワークショップでは、エリアマネジメントや地域まちづくりの中で、企業に求められる姿勢や活動について考察を行う。日本だけでなく世界の好事例を収集・分析し、地域活動のステークホルダーとして企業がどのように行動していけばいいのかを考えていく。また、パートナーとしての行政や地域組織、NPOなど他主体の振舞いや企業へのニーズを捉え、それに応えるための企業活動のあり方について検討を加える。
一方、企業活動としても経済のグローバル化競争に勝ち残る戦略だけでなく、コミュニティ・ビジネスやソーシャル・ビジネスといった地域社会のニーズをビジネスチャンスに活かす戦略も取られ始めている。こうした動きとしてイギリスのソーシャル・エンタープライズやイタリアの社会的協同組合などが注目をあびている。奇しくも2012年は国連の「国際協同組合年(International Year of Co-operatives)でもあり、地域貢献をビジネスに活かすもう一つの企業活動の展開について参加者同士の議論の中でその可能性を考えたいと思う。
売り手よし・買い手よし・世間よしという近江商人の「三方よし」の理念に学び、新しい時代にふさわしい企業の地域活動・まちづくり活動のあり方について論議したいと考えている。
■座長プロフィール
久 隆浩(ひさ たかひろ)
1958年 高知県安芸郡生まれ
1981年 大阪大学工学部環境工学科卒業
1986年 大阪大学大学院博士後期課程修了、工学博士
1987年 (財)21世紀ひょうご創造協会主任研究員
(現・ひょうご震災記念21世紀研究機構)
1988年~ 大阪大学工学部助手(環境工学科)
1999年~ 近畿大学理工学部助教授(土木工学科)
2005年~ 近畿大学理工学部教授(社会環境工学科)
2010年~ 近畿大学総合社会学部教授(環境系専攻)
同大学国際人文科学研究所教授(兼任)
◆ 専 門
・都市計画・まちづくり・市民活動支援
◆ 著書および主要論文(主要30報)
『都市・まちづくり学入門』(共著・学芸出版社)
『はじめての環境デザイン学』(共著・理工図書)
『21世紀の都市像-地域を活かすまちづくり』(共著・古今書院)
『地方分権時代のまちづくり条例』(共著・学芸出版社)