近年、立体道路制度の拡充により、道路上空を活用した土地の有効活用の可能性が開かれ、全国的に稠密な駅前空間などを中心に、都市更新や拠点整備が進められている。既存の市街地や都市施設やインフラによる制約が大きい中、道路を挟んだ敷地の共同化による土地の一体利用による、新たな都市整備が今後さまざまに進められるだろう。
道路のほかにも、河川、公園といった都市施設の敷地内では建築可能な建物が制限されるのが通常であるが、立体都市計画制度、立体都市公園制度等の活用により、立体的な開発の道は開かれている。また、橋上駅に代表される鉄道線路上空の利用、直下・地下の利用、大深度地下の利用も様々な可能性を秘めている。また、既成市街地の再編においては、立体換地手法の活用も考えられる。
これらは既成市街地の再開発に貢献するのみならず、既存の都市施設・社会基盤施設の更新や、新たな拠点整備と地域再生の可能性を開く上でも重要な役割を果たすものと考えられる。しかし一方で、さまざまなステークホルダーによる協力・協働や、都市経営上の明確な位置づけと戦略が求められ、その調整や合意がきわめて重要な課題となる。
また、これから10-20年で、多くの技術変化・技術革新、人々の行動の変化、ライフスタイルの変化、都市における産業の変化が急激なスピードで生じ、それにともない、求められる都市空間や施設、社会基盤のありかたも変化していくことが想定される。これらを出来る限り予測し、持続可能な都市づくりを行うことも重要な課題となっている。
そこで、本ワークショップでは、「立体的に都市をリ・デザインする」をテーマにして、これからの都市づくりの可能性を探ることとしたい。
参加者はチームに分かれ、大阪市内のあるエリア・対象敷地を想定し、以下の検討を通じて、2040年代頃を想定した立体的な都市のデザインの提案を行うこととする。
・2040年代における技術・都市産業・ライフスタイル等の変化を想定する
・潜在的な空間活用ポテンシャルを評価する
・既存制度の活用可能性を検討し、「新たな制度」を提案する
・上記を含む、立体的な都市空間再編・整備案と事業手法を提案する
都市は立体という創造的な問題解決を切り口としたときに、どのようにリ・デザインすることができるのか。その新たな可能性が開かれることを期待したい。