2022年度に引き続きCITÉさろんワークショップの座長を担当いたします。よろしくお願い致します。専門は交通工学・都市交通計画です。過去十数年にわたって、歩行者・自転車交通を中心にかかわりつつ、様々な海外都市における交通政策の調査研究を経験してきました。こういった経験をもとに、関西の都市について参加される皆さんと議論したいテーマは「交通関連施設の公共性」です。
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、ライフスタイル、働き方、移動のあり方など、我々がこれまで当たり前としてきた価値観の前提条件を再考する機会となりました。また、パンデミック後の新しい生活様式では、様々な提案がなされています。さらに、関西では2025年に万博開催が予定されており、大きな変化がもたらされる機会となるでしょう。
専門とする都市交通に関しては、公共空間のあり方にも変化がみられ、世界中の都市で道路空間の使い方の見直しが加速し、これまで当たり前だった交通問題が改善に向けて動き出した側面があります。例えば、ウォーカブルのキーワードに代表される歩行空間・広場空間の充実、交通結節点の改良事例の数々は見逃すことはできません。また、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、より環境負荷の少ない移動が求められる中で、CASE(接続・自動運転化・共有・電動化)というキーワードを使った様々な新しい交通サービスが生まれており、既存の概念や枠組みを破壊するような状況も生まれつつあります。
そこで、本ワークショップでは、国内外における新たな交通関連施設・サービスの事例を紹介・整理しながら、交通やその交通関連施設に関わる公共性について議論し、新たな概念や根拠に基づいた技術やサービスの具体的な提案を期待したいと思います。