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ワークショップ活動

グローバル化した世界と向き合う大阪のあり方を考える

座長:
東京大学大学院
工学系研究科都市工学専攻
准教授  瀬田 史彦
■主旨

 世界のグローバル化が進んでいる。物、人、金、情報がかつてないスピードで動き回る時代だ。移動・交易を支える輸送技術の発達、情報流通を飛躍的に向上させるIT技術の誕生と成長、さらに関税障壁の撤廃やビザの簡素化など制度的な変化も後押しして、世界の経済・社会活動のすべての流れが、かつてないほど早く、激しく動くようになっている。
 グローバル化の進展によって、様々な企業活動が世界レベルで効率化されることにより、多くの人々が貧困から救われる。様々な出自・能力を持った人々が互いに交流し切磋琢磨しあうことにより、豊かで創造的な財やサービスが次々に生み出される。そしてグローバル化した世界では、こうした恩恵を人類全体で享受できる。そう唱える者がいる。他方で全く逆のことを唱える者もいる。グローバル化による競争の末、少数の大企業が市場と経済を支配し、むしろ階層格差が拡大する。均一化された経済・社会の下で、創造的な活動の芽が摘み取られる。今の世界の状況をみると、功罪、どちらの状況もよく見られるような気がする。
 こうしたグローバル化の波は止められない。しかしグローバル化に対する都市の対応は様々だ。グローバル化を完全に受け入れて、世界と対峙しようとする都市がある。ニューヨークやロンドンのような金融都市、それにシンガポールのような都市国家だ。他方、グローバル化の波をある程度受け止めつつ、自らの個性や立ち位置を守り、むしろそれを売りにして世界と対峙しようとする都市がある。文化の香り高い欧州の都市、それもパリなどの大都市よりミュンヘンやバルセロナなど中都市に多い。
 大阪は、グローバル化とどう対峙していけばよいだろう。しかしそもそも大阪でグローバル化を感じる機会は、世界の他の都市より極めて少ない。このままでは、グローバル化への対応が大きく遅れ、手遅れになってしまうのではないか。
 このワークショップでは、グローバル化に対する大阪の立ち位置を考え、さらに具体的な方策について多方面から考えていきたい。大阪のモノを外国に売る、企業を受け入れる、観光客を呼び寄せる、外国人居住者を増やす、大阪にお金を集める、・・・メンバーが興味を持つ観点を中心に議論する。

■プロフィール
瀬田史彦(せたふみひこ)

1972年 東京都荒川区生まれ
1995年 東京大学工学部都市工学科都市計画コース卒業
1997年 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程修了
1998年 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程中退
1998年~2005年 東京大学先端科学技術研究センター 助手
1998年~1999年 財団法人日本総合研究所 客員研究員
2000年 タイ・アジア工科大学 人間居住開発学科 客員助手
2000年~2002年 国際協力事業団 タイ都市計画技術向上プロジェクト短期専門家
2002年12月 東京大学 学位取得 (博士(工学))
2003年・2004年 ドイツ・シュトゥットガルト大学 客員研究員
2005年~2012年 大阪市立大学大学院 創造都市研究科 准教授
2012年 東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 准教授

専門
都市・地域計画

主な著書
『広域計画と地域の持続可能性<東大まちづくり大学院シリーズ>』学芸出版社、2010年(共著)
『創造の場と都市再生』晃洋書房、2010年(共著)