現実世界とデジタル情報の融合、仮想空間と日常生活との融合は、社会や産業のあり方を根本から変えるといわれる。都市に求められる役割も大きく変化しているだろう。ワールスタイルやライフスタイルが劇的に変化した未来において、現実の都市の姿はどのようなものになっているだろうか。
おそらく世界中の都市において、老若男女や国籍を問わず多様な人材の交流を促し、多くの偶然の出会いや体験価値を生み出し、イノベーションや経済的活力を興し続ける都市戦略が実装されていくであろう。
この都市間競争の中で、大阪はワールドクラスのエキサイティング・シティたりえているだろうか? 活力や創造力をどれほど生み出せているだろうか? また、それはどのように実現されているだろうか。
現実的には資源は限られる。しかし、大阪の各エリアにはそれぞれ固有の使える資源が眠っている。それら潜在的資源を都市のワクワク体験を生みだすために活用すること、すなわち資源をオープン化して活用することは、まちづくりの重要な課題である。たとえば、デジタルメディアによるまちと人の物語の見える化、食(屋台、マーケット)、イベント・フェス、水辺、芸能・音楽、農などのエリア資源と空間の動態的マッチング、さらには仮想空間(社会)のリアライゼーションなどは、都市戦略上の重要な課題であろう。しかし実際に、これらの資源がどのような仕組みに基づけば活用出来るかを描くのは難しい。既存の枠に捉われない発想が必要だ。
未来のエキサイティング・シティ・オオサカを実現するために必要なことは何か。ざっと思いつくまま挙げてみるだけでも、多くの課題がある。すなわち、可変的都市体験プログラムのマネジメント、最先端技術を用いたプラットフォーム・ビジネスモデルとまちづくりへの実装およびメカニズム・デザイン、デジタル情報を用いた既成市街地の潜在的資源のオープン化による街区再生、エリア特性に応じたインキュベーション機能特化、共創プロジェクトデザインとチームアップ、多様な知識の集積によるイノベイティブ・エコシステムの形成。そして、それを支える拠点の再編・強化や公共的活用空間の創出、まちづくり型市街地再開発、ストック活用とまちづくりファンド運営、などのあり方が課題となるだろう。
このような未来のシティ・マネジメントのあり方を、本気で考えてみたい。
その先に何らかの発見やブレイクスルーがあることを期待して。