人口減少社会に入り、空き家・空き地の発生、またその発生が時間的・空間的に発生する「都市のスポンジ化」が進行しており、総合的、計画的な対応が求められている。一方で、対策の萌芽となるような空き家・空き地の活用の試みもある。なかでも、低廉な不動産である個々の物件を舞台にして、新しい価値を生み出すようなリノベーションの取り組みが展開している。特に、まちづくりの観点からは、リノベーションされた個々の物件が、地域の中で一定の数を占めることで、地域全体の価値向上が期待できるような「リノベーションまちづくり」、「エリアリノベーション」という概念が指摘されており、人口減少に伴い衰退する地域の課題解決の一方策として期待されている。
個々のリノベーションは物件所有者や事業者などによる独自の取り組みであり、まちづくりの観点、あるいは都市政策の観点からは、個々の取り組みをいかに地域全体の価値向上につなげていくのか、地域社会とどのように関係づけるのか、あるいは地域への波及効果が現れるような個々のリノベーションのあり方はどのようなものか、といった課題が現れてきている。
本WSでは、大阪を中心に展開している「エリアリノベーション」と捉えられる事例を取り上げ、まちづくりの観点からリノベーションのあり方を考察したい。