SOTO会2023 基調講演 デザインのまほう★チロル堂 – コミュニケーションデザインでみんなにちょうどいい“負荷”を考える – <後編>
-SOTO会2023
基調講演 デザインのまほう★チロル堂
– コミュニケーションデザインでみんなにちょうどいい“負荷”を考える – <後編>-
ダダさんの基調講演後、気づきや驚きに包まれ、聞きたいことがたくさんある…!という気持ちに溢れた会場。ダダさん×参加者の質疑応答タイムを設けさせていただきましたので、ざっくばらんにお答えいただいた内容をご紹介します。
Q.まほうのだがしやチロル堂では、⼤⼈の飲⾷代⾦が寄付となって運営を回すということでしたが、お店の運営のためには家賃や物を提供するための原価、⼈件費も必要。実際にはどうやって運営をされているのですか?
「運営には10万円の家賃の他に光熱費、仕⼊れ、⼈件費などが必要です。⼤⼈がたくさん来て飲⾷をしないと運営できないので、全国に『まほう使い』の募集を呼びかけた。実際に⽣駒まで来るのが難しい人もいるので、クレジットカードを登録して毎⽉500円とか1000円とかのサブスク寄付を⾏ってもらっています。実際は、ギリギリ⾚字くらいで運営しています。なので、⼦どもたちがチロル堂の前に⾏列を作っていたら嬉しいやらドキドキするやら。笑」
なかなかお店に通えなくてもサブスクでチロれます
(引⽤:まほうのだがしやチロル堂WEB サイト)
Q.楽しみから⾃分の⼈⽣をつくっていくという素敵な話を聞けてよかったです。チロル堂での活動内容は、ダダさんが決めておられるのか、提案制で決められているのでしょうか?また、活動を⾏える⽅の選別のようなことはしているのですか?
「僕は全く決めていません。チロル堂オープンの前、⽣駒の⾏政の⽅や⾯⽩い活動をしている⽅々に集まってもらって、チロル堂を⼀緒につくりませんかという相談をしたんです。完成してから利⽤しないか聞くのではなく、計画途中から⼀緒にやりませんか?と投げかけたことで⾯⽩そうだとノってくれた。⾃分も⼀緒にやる側だと思ってくれている⼈が地域にたくさんいる状況でスタートできたのは⼤きいですね。その中でも、ファーストペンギンは杉さん。Facebookで、『お誕⽣⽇のプレゼントはいらないから、みんなの気持ちを絵本に変えてチロル堂に寄付してみませんか?』と投げかけてくれた。それをきっかけに、どんな絵本がいいかという話で盛り上がり、本屋さんの絵本コーナーに勤めていた⽅がAmazon で“ほしいものリスト”を作ってくれて、その中からみんなが選んで買い始めてくれたんです。絵本が集まったら、『英語・⽇本語バージョンの読み聞かせをやろうかな』と杉さんが⾔ってくれるので、チロル堂も告知に協⼒したり、どんどんといろんな⼈が関わり始めた。⾏政主導の写真を撮ってまちの情報を発信するプロジェクト“いこまち宣伝部”の⽅が取材をしにきてくれり、盛り上げたりしてくれた。杉さんも実はいこまち宣伝部のOB。もともと⽣駒のことが嫌いだったそうですが、宣伝部で活動してまちを好きになった⼈が、チロル堂のファーストペンギンになってくれたんです。」
絵本の読み聞かせに夢中な⼦どもたち
「僕は兵庫県出⾝ですが、18 歳で⼤学進学から30 代まで⼤阪に住んでいました。⼤学在学中にバンドDOBERMAN やアトリエe.f.t.を設⽴しているので⼤阪で約15 年スクール経営や⾳楽活動を⼀所懸命やっていました。そんな中、⾃分の⼦どももできた事もあり、⾃然環境があって⼤阪のアトリエe.f.t.にも通えるまちを探して⽣駒に出会いました。
アトリエe.f.t ⽣駒校の様⼦(引⽤:アトリエe.f.t. WEB サイト)
⼤阪だったら、まちのことを好きな⼈が集まっているって分かる場所ができたらいいんじゃないかな。駅ごとでもいいし、⼩さく区切ってもいい。スモールな取り組みがまち全体を変えていくんです。トーキョーコーヒーも⼩さい取り組みだけど、全国に350拠点できてムーブメントが起きている実感があります。『この地域がめっちゃすき!』って⼈が集まって、何かプロジェクトが始まりそうな時に、5万円とか10万円とかでもいいから⾏政や企業が⽀援してくれると変わります。さらに企業から⼀緒にプロジェクトをやってくれる⼈を1 ⼈でも派遣してくれると良いな。その企業の⼈が、そのプロジェクトの価値を会社に報告したらもっと良い!まずは⼩さいプロジェクトをやってみて、それがどんどん増えていくといいんじゃないかな。」
Q.市⺠はまちのお客さんになっているという話もありましたが、⼤阪は開発されているということもあるので、余計にお客さんになっている⼈が多いのかなと思ったのですが、いかがでしょう?
「全てサービスにしてしまった企業の責任もあるのかなと思っています。そうすると市⺠は消費者で社会が産業になるけれど、本当は社会とは暮らしの集合体のはず。いつしかビジネス=社会になってしまっているんですね。⼭の中とかに住んでみたら買えないものばっかり。きのことか⾃分で育てた鶏の卵とか。お⾦で買うべきものはお⾦で買ったらいいけど、⾃分たちで⽣み出せるものは⾃分で⽣み出せばいいんですよ。どんなサービスを提供することがいいのかという事ばかりを考える必要ありません!笑」
⽇々まちづくりに携わるソト研メンバーや参加者のCITEさろんメンバーにはグッとくるものが多かった今回のダダさんの講演とその後のざっくばらんなお話。まずは初めてみることや、ある程度の勢いとノリ、⾃分も楽しむことなど、ちょっとずつでも仕事に取り⼊れていくことで、⼤きな変化につながっていくのではないかと感じました。
<関連URL>
まほうのだがしやチロル堂:https://www.tyroldo.com
→サブスクでチロるにはこちら:https://tyrol.tyroldo.com
アトリエe.f.t:https://eftosaka.com/about.html
トーキョーコーヒー:https://tkcf-tokyocoffee.com